新業態:住宅再生・流通ビルダー 誰よりも早く良質な中古戸建に接触できる利点活かせ

新業態:住宅再生・流通ビルダー 誰よりも早く良質な中古戸建に接触できる利点活かせ
コラム「時流を読む」

「注文住宅工事請負」のビジネスモデルは限界に

新業態:住宅再生・流通ビルダー 誰よりも早く良質な中古戸建に接触できる利点活かせ

この30年で住宅業界は大きく変わりました。デフレと都市化により注文住宅着工数は減少を続け、分譲戸建・マンションのシェアが拡大しました。

特にこの数年は注文住宅の減少スピードが著しく、国土交通省発表の2023年7月度着工統計によると20ヵ月連続で前年同月比割れが続いています。

私は注文住宅モデルがいよいよ終焉の時を迎え、脱・新築偏重のタイムリミットを迎えていると感じています。

副業として中古住宅市場に参入しても必ず失敗する

前回のコラムでは、住宅会社(工務店・ビルダー)の新たな活路として、住宅の資産化ビジネスについてお伝えしましたが、改めて詳しくご説明したいと思います。

一番のポイントは、「新築事業の副業として、現在の中古住宅ビジネスに参入する」という、短絡的な視点では敗北は必須だということ。
一般的に中古住宅市場と言えば、中古住宅の売買仲介や、大規模リノベーション、買取再販等を指します。しかしそれらは既に不動産仲介会社等の専門プレイヤーが存在し、彼らの方が上手くできるのは自明の理です。

新業態:住宅再生・流通ビルダー 誰よりも早く良質な中古戸建に接触できる利点活かせ

住宅会社のみが持つニッチな強みを活かす

後発参入だからこそ、住宅会社しか出来ない新業態の開発が必要です。不動産仲介会社等は、建築技術分野は不得手であることが多く、また手間がかかることからやりたがりません。
中古住宅市場がマンション中心である理由はここにあり、良質な中古戸建の目利きが難しいことを表しています。

地元密着の工務店・ビルダーだけが持つ強みとは

住宅性能改修工事を行うための建築技術

建築分野の高度な知識とノウハウが必要なため、性能改修は参入障壁が高く、不動産仲介会社や内装に特化したリフォーム会社などは対応できない分野

地場でのOB顧客・物件のネットワーク

住宅所有者であるOB顧客は「長期的に住宅売却が見込まれる、売却見込客」。住宅会社は、売却見込客のリストを保有していると言っても良い。地場でのフットワークを生かし、メンテンナンス等を行い、OB顧客の信頼を得ることで、売却見込客の囲い込みができる

住宅会社は、竣工物件のアフターメンテナンスや改修工事を通じて、資産価値を維持・再生し、長期的に施主に寄りそうことができます。そして「住宅の資産化」を切り口として、住宅売却のタイミングを待つのです。すると、今までのOB顧客リストが、中古市場デビューを待つメンテナンスが行き届いた住宅リストへと変わるのです。

「住宅再生・流通ビルダー」とも言うべきポジションが、今後住宅会社が勝ち残れる唯一の道ではないかと思います。

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筆者

鵜澤 泰功 (Uzawa Yasunori)
林業、住宅シンクタンクなどを経験し、1996年に住宅コンサルティング会社を設立。その後住宅会社をより本質的に支援するため、MSJグループ各社を設立。