2022年は、終戦、バブル崩壊に匹敵する大転換
終戦後、圧倒的な住宅不足を解消するため、政府は持家取得政策を推進しました。高度経済成長とともに持家着工数は増加、ハウスメーカーや工務店の全盛期となり、新築を中心とする産業構造の基礎が作られました。
その後バブルが崩壊、デフレに突入し所得環境が悪化。コストメリットの高い分譲住宅の人気が高まりパワービルダーが台頭した一方で、持家は徐々にシェアを下げていきました。そして今、住宅産業は再び転換を迎えています。
「お金に換える時代」の到来、中古ビジネス拡大
従来の住宅産業は主に「新築住宅をお金で買って頂く」産業でした。しかし住宅事業者にとって現在のインフレは非常に厳しい経営環境であり、消費者にとっても価格が高くて買えないという事態がおきています。いよいよ産業構造の中心を、中古住宅へ移さねばなりません。
私が重要視している中古住宅ビジネスのポイントは、資産として家をとらえること。これから、多くの消費者が「家をお金に換える」ことで老後資金などに不安を解消するケースも増えていくと考えます。今後は、住宅所有者側の立場で資産化のお手伝いをする、そんな中古住宅ビジネスが成長可能性を秘めていると、私は考えています。
設備投資計画から見る、地方戸建市場の可能性
もうひとつ私が注目しているのは、2022年度の国内企業における設備投資計画が過去最高を記録したことです。製造業の国内回帰も進んでおり、今後は大企業などの地方製造拠点周辺において、雇用と住宅需要が拡大する可能性があります。こうしたエリアにおいては、2023年以降新築戸建市場が復活する動きが期待できるとみています。
鵜澤 泰功 (Uzawa Yasunori)
林業、住宅シンクタンクなどを経験し、1996年に住宅コンサルティング会社を設立。その後住宅会社をより本質的に支援するため、MSJグループ各社を設立。
林業、住宅シンクタンクなどを経験し、1996年に住宅コンサルティング会社を設立。その後住宅会社をより本質的に支援するため、MSJグループ各社を設立。