コスト高問題が解決しないワケ 住宅業界はガラパゴス化の集合体?

コラム「時流を読む」

新築住宅建設におけるコスト高問題は深刻です。様々なコストダウンを講じてみても、なぜ抜本的な解決が難しいのか。その原因と、私が考える解決策を考察してみます。

住宅業界はガラパゴス化進み、多くの“ムダ”が発生

住宅建設における設計図は、確認申請へ向けた2次元CADが主流です。
施工や木材加工などの後工程では、確認申請図をもとに、施工図、伏図やプレカット図などを新たに作成しています。また積算においても、部材の量を正確に拾うことは難しいため、余分に見積り発注されます。これらが積み重なり、生産性低下やコスト高につながっているのです。

背景にあるのは縦割り構造。住宅産業には、住宅会社をはじめ、建材会社、プレカット工場など多くの業種が存在しますが、それぞれが独自のシステムで発展してきました。
個別にDX化を進めてみても、各分野間で重複している糊しろ(ムダ)は残っているため、コストダウンが難しいのです。

鍵は3D。バーチャル上で設計、積算、施工検討が可能

それらを解決する中心となるのがBIM。建材一つひとつを形状・仕様・コストなどの情報とともにデータ化しバーチャル上で組み立てる3D設計手法です。
3Dはパースなど営業面で活用されていますが、真骨頂は別にあります。使用部材が正確にリスト化され見積が容易になるほか、下地割付など施工図とも連動するなど、施工段階でこそ有用なのです。

3Dは設計だけでなく、点群による敷地測量、木材加工の生産CADなどで独自進化を遂げています。これらをつなぐことで、設計の前後工程の糊しろがなくなり、抜本的な生産性向上と、コストダウンにつながると私は考えています。

様々な3D技術をつなぐプラットフォーマー目指す

重要なのは、これらのガラパゴス技術をつなぐプラットフォームの存在。
MSJグループではつなぎ役となり、助っ人クラウドをプラットフォームに、電子送金代行機能の開発も進め、住宅建設をビジネスモデルから刷新していきます。次回、改めて詳しくご説明したいと思います。


筆者

鵜澤 泰功 (Uzawa Yasunori)
林業、住宅シンクタンクなどを経験し、1996年に住宅コンサルティング会社を設立。その後住宅会社をより本質的に支援するため、MSJグループ各社を設立。