米国で景気後退懸念。日本経済は先行き不透明
米国で「逆イールド」という長短金利の逆転現象が発生しています。
これは景気後退の兆候とされており、過去にもリーマン・ショック級の不況の前に必ず同じ現象が起きていました。しかし今回は過去最大級の深さで進行しており、既にインフレが恒常化していることから事態は非常に深刻です。
今後は日本経済への影響が注視されますが、それがいつ波及するかは不透明であり、既にインフレ下のため、これ以上の金融緩和や財政出動は難しいと考えられます。
具体的な時期を予測するのは困難ですが、住宅産業においても非常に厳しい経営環境が来ることは間違いありません。
2023年~25年は、制度変更・法改正ラッシュ
一方で、確実に変化すると分かっているものもあります。それは、2023年4月以降に施行決定している制度変更・法改正。人件費上昇につながると予想されるものなど、中小の住宅事業者にとって影響は決して少なくなくありません。
なかでもインパクトが一番大きいのが、2025年4月に予定されている省エネ基準適合義務化です。
既に大手ハウスメーカーはZEHへと舵を切っていますが、中小の住宅事業者においても全ての新築住宅に高い基準が義務付けられることになります。
建築・設計コストが更に上昇し、住宅価格への転嫁が進めば、消費者は住宅を購入することが難しくなり、新築住宅事業は一段と厳しくなることが予想されます。
リスクヘッジのカギとなるのは省エネ等設計力
予測不能の時代にどう対応するか。私はそのカギとなるのが省エネ計算や構造計算、設備設計など技術分野における「設計力」ではないかと考えています。これを底上げすることにより、マストである省エネ対応だけではなく、設計変更による手戻り減少やリードタイム圧縮が可能となり、環境変化にスピーディに対応しやすくなります。
不透明な時代を生き抜き、大変化に備える———これが2023年度のテーマと言えるのではないでしょうか。
林業、住宅シンクタンクなどを経験し、1996年に住宅コンサルティング会社を設立。その後住宅会社をより本質的に支援するため、MSJグループ各社を設立。