2025年4月の法改正は、確認検査機関にも混乱をもたらしました。
北海道トップシェアの確認検査機関、株式会社サッコウケンの代表取締役社長 兼平 久氏、常務取締役 川村 宏二氏と、MSJグループの株式会社ハウスジーメン 代表取締役社長 道下 佳紀が、現場の課題と未来戦略について対談しました。
確認検査機関が語る法改正の裏側 混乱から二極化へ
サッコウケン兼平さん 繁忙ピークはやはり4月でした。あの頃は住宅会社さんも慣れておらず、図面や書類を揃えるのも一苦労でした。今は慣れた会社と、そうでない会社が約半々で、二極化していますね。
ただ我々としては審査内容が膨大になりましたから、審査現場は依然疲弊しています。道内トップの確認検査機関として効率化や人材獲得に努めてはいますが、現実は難しくジレンマがあります。
ハウスジーメン道下 増員はできていますか?
兼平さん 同業の中では恵まれていて、去年から20名増員しました。
でも、ありがたいことに申請数も増えているので、増員が追い付いていません。

兼平 久 代表取締役社長(株式会社サッコウケン)
道下 MSJグループでも、確認検査機関(株式会社GAI建築確認)を子会社化しました。社員約30名、月100件程度の規模ですが、やはり業務量が増えて大変なのは同じですね。
兼平さん 最近は住宅会社さんも工夫されて、複数の確認検査機関を使い分け、より早いところに分散して申請しているようです。
「建築確認の早さ」を支える組織体制
兼平さん 当社は道内でシェア40%を占め、技術者の数も多く早さが強みです。もともとは非破壊検査から事業をスタートして、建築確認の民間開放の際に参入しました。
道下 道内トップシェアの優位性は、どのようにしてできたのですか。
兼平さん 最初は他機関の隙間を狙いました。当時北海道で流行していた地下RC+木造2・3階建賃貸など、他機関があまりやっていなかった分野から少しずつ広げていきました。
その後、他機関が業務停止などに見舞われるなかで、当社はそうはならずに済み、そのたびに少しずつシェアを拡大して、何とかここまできたというところです。
道下 リスクをうまく回避しながら、臨機応変に外的環境を味方につけてこられたんですね。
2020年にはERIホールディングス傘下に入られました。兼平社長は創業一家のご出身ですがギャップはありませんか。

(右から)兼平 久 代表取締役社長(株式会社サッコウケン)、道下 佳紀 代表取締役社長(株式会社ハウスジーメン)
兼平さん いいえ。親会社は売上に関しては厳しいですが、自由にやらせて頂けているので、メリットの方が大きいです。
社員にとっては安心感があるでしょうし、経営課題もグループ全体で共有ができます。IT投資を親会社に提案するなど、前向きな挑戦もしやすくなりました。
サッコウケン川村さん 今年は、東北の確認検査機関の事業を引き継ぎ、営業所を開設することができました。北海道から東北に進出されている住宅会社さんもいるため、相乗効果があると考えています。
サッコウケンとMSJグループの共通点は 挑戦と開発の推進力
道下 サッコウケンさんには、4年ほど前からハウスジーメンの瑕疵検査を委託させていただいています。
兼平さん 住宅会社さんが確認検査機関にこだわりがないのと同じで、当社も瑕疵保険法人各社とフラットにお付き合いをしています。北海道でのハウスジーメンのシェア拡大に伴って、ハウスジーメン瑕疵保険の検査件数が伸びていますね。
道下 ありがとうございます。
兼平さん ハウスジーメンは、新しい分野への取り組みが早く、他の保険法人とは違う印象があります。私も新しいことへの挑戦は大好きなので、価値観が似ているなと思います。

川村 宏二 常務取締役(株式会社サッコウケン)
川村さん MSJグループには住宅アカデメイアというシステム会社もありますし、サービス開発にも積極的ですよね。少数精鋭ながら、新サービス発売のたびに全国をまわって、気が付いたら瑕疵保険法人がハウスジーメンに切り替わっているという話も聞きますね。
道下 嬉しいお言葉をありがとうございます。サッコウケンさんとは企業カルチャーが合うのもあるのか、私もいつも話がはずんでしまいます。
対談の後編はこちらから
特別対談(後半)|サッコウケン×ハウスジーメン
翌日交付は実現するか リモート検査・ネットワークによる未来


